日本中の人が異口同音に「体質がひどい」「予想が甘い」「経営者はバカ」なんて批判しています。私も100%同感ですし、大勢の人の生活と命を預かる立場でありながら体制と今回の対応の甘さは今後も徹底して戒められるべきでしょう。刑事罰もありえます。お役所体質による伝達の遅さ、対応の遅さが致命的だったわけです。
しかし、そんなに簡単な話でしょうか?
このブログを読んでいる人で、従業員1000人以上の大企業に勤めている人に尋ねます。
あなたの会社は伝達は早いですか?経営の対応は早いですか?
恐らく10人中8-9人は「ノー」と答えるでしょう。
安全設計だって結局は不十分だったわけですが、決して怠っていたとはいえません。予算が無限にあるならともかく、限られた予算の中で十分だと考えられる安全設計を行っていたのでしょう。
そして決断の遅さを皆さんは簡単に批判しますが、ではあなたの会社の社長ならあの状況でただちに「海水注入」の決断ができましたか?少なくとも私なら出来ないと思います。
今回の発電所は何年にも渡って世界トップレベルの安全性を自負していたわけだし、みんなはそう信じていたのでしょう。今回も事故直後はすぐに収まると思っていたわけです。
これは国家から大企業、零細企業に至るまで共通なのですが、これまで正しいと思ってやっていたことを瞬時に否定ですのは並大抵のことではできません。歴史に残る多くの名経営者や政治家たちも即座に方向転換が出来ずに失敗しています。大企業だって倒産しています。天才と言われてきた金融のトップトレーダー達も自分がとったポジションと反対方向に市場が動いた時に「すぐに戻るから」と信じて切り返しが遅れて大損をするものです。身近にも失敗した人が沢山います。
単に評論家のように「東電の経営者はバカだ」で済ませることは出来ません。明日はわが身です。
いざという時に感情に惑わされずに正確な判断ができるような指針を日頃からキッチリ作っておくこと。これをなしに無責任な批判をするだけでは、同じ失敗は必ず繰り返されることでしょう。